お知らせ

新型コロナウィルス 雇用調整助成金について (2020.4.24)

新型コロナウィルスの対応としてとして、一躍注目を集める雇用調整助成金。今までは複雑で申請件数も少ない助成金でしたが、大幅に緩和がされ使いやすくなっています。今回は緩和措置と書類の簡素化に分けて解説します。  

                   ※東京社労士雇用保険研究会より

新型コロナウィルスの対応としてとして、一躍注目を集める雇用調整助成金。今までは複雑で申請件数も少ない助成金でしたが、大幅に緩和がされ使いやすくなっています。今回は緩和措置と書類の簡素化に分けて解説します。  

                   ※東京社労士雇用保険研究会より

 

1.雇用調整助成金の今回の緩和措置の趣旨、目的は?

厚生労働省のホームページ雇用調整助成金は「景気の変動、産業構造の変化その他の経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、一時的な雇用調整(休業、教育訓練または出向)を実施することによって、従業員の雇用を維持した場合に助成されます。」と概要が記載されています。今までは、経済上の理由の判定や従業員の雇用の維持目的を厳格に判断するために、複雑な要件や添付書類が設けられていました。今回の緩和措置はコロナウィルスの蔓延による経済の急な落ち込みに対応するために、様々な要件を取り払ったことが特徴になります。

 

2.4月1日からの緊急対応期間に関する緩和措置

生産指標の要件緩和

今までは、計画届の提出前3か月間の生産性指標(売上や生産高や工事高)が対前年同月比で10%の減少が必要でしたが、計画届の提出前1か月間の生産性指標の対前年同月比5%の減少と短縮、緩和されています。(また、前年と比べて減少していない場合、前々年と比べることが可能です)
この生産性指標の確認は計画届を届出した月の前月で見ます。後述する事後特例期間中であれば、4月1日から休業を開始したとしても、5月に届出をだせば4月、6月に届出をすると5月と比較することになります。

雇用量要件の廃止

今までは雇用量(雇用する人の数が)対前年比で増加している場合(最近3か月の雇用量で判断)が対象外でしたが、廃止されています。

雇用保険適用事業所設置後1年未満の事業所でも対象

この場合の、生産指標の確認は提出があった月の前月と令和元年12月を比べます。(この部分が422日に再改正され、必ずしも12月ではなく計画届提出の前々月から直近1年間の比較月との比較によって減少の判定ができることとなりました)

休業規模の要件緩和(1月24日まで遡及)

休業等の延べ日数が対象労働者に係る所定労働日数の1/20(中小企業)、1/15(大企業)以上となるものであることとしていましたが、これを1/40(中小企業)、1/30(大企業)以上に緩和します。

短時間休業の緩和(1月24日まで遡及)

今まで、短時間休業については雇用保険適用事業所の労働者が一斉に休業する必要がありました。今回の緩和措置で部門、店舗ごとの休業も対象となりました。

残業相殺制度の停止(1月24日まで遡及)

今まで、残業相殺(例えば所定1日8時間労働で、休業対象者が月16時間残業した場合、休業の助成される日数から2日間減らされること)がありましたが、停止され休業日数そのまま払われます。

自宅での教育訓練も可能

今まで自宅での教育訓練は一律不可でしたが、可能とされました。また、マナー、セクハラ、パワハラ、メンタルヘルス研修等も認められます。ただし、厳格な受講確認(自筆での受講レポートの作成等)が求められています。

3.大幅な書類や手続きの簡素化

計画の事後届出が可能

今までは必ず休業の前日までに計画届の提出が必要でした。これが6月30日までであれば、実際に休業を開始した後でも届出が可能になります。よって、下記のように支給申請とまとめての手続きを行うことが出来ます。また、2回目以降の計画届提出が省略できるようになりました。

(タイムスケジュール例)

・4月1日休業開始

・5月中に4月、5月の計画届提出(事後特例)、6月の計画事前申請、4月分の支給申請 

・6月中に5月の支給申請、7月の計画申請

 

休業協定書に添付する委任状の提出が不要に

休業を開始する前に労働者代表との間で休業手当の支給率や対象者を決めた休業協定書を締結する必要があります。(休業協定書の有効期間は1年以内とされています)今までは、個々の労働者が労働者代表に協定書結ぶ権利を委任するための「委任状」も計画届に添付する必要があるとされていました。実際、自宅での勤務や待機、外出自粛要請が出ている中でこの委任状集めが大きな負担になっていました。今回、この委任状の提出が不要とされました。

 

記載事項の大幅削減

各届出書類が見直されて、大幅に簡素化されました。具体的には今まで月ごとのカレンダーに個々の休業対象者の出勤、休業状況の記入が必要とされていましたが、判定基礎期間ごとの各労働者の総日数を記載する方式に変更になりました。

 

休業手当100%支給時の休業手当明記が不要に

今まで、賃金台帳に休業手当額の明記が必要とされていました。今回の簡素化で休業手当が所定給与の100%支給されている場合は、賃金台帳への休業手当の明記が不要となりました。ただし、休業手当率が100%でない場合は明記が必要となります。

(記載例)給与20万円、所定労働日20日、休業日10日の場合

・給与20万円

・休業日分減額 10万円(欠勤控除でも構いません)

・休業日数10日

・休業手当10万円

システムの都合上、休業分の明記が難しい会社もありました。休業手当100%の場合の明記不要措置は助かるのではないでしょうか。

風営法関連業種に関する特例及び労働保険料を納付していない事業主等に関する特例、

する特例が設けられました。

今まで対象にならなかったこれらの事業主においても、風営法関連業種事業主においては228日から、労働保険料を納付していない事業主等に関する特例、労働関係法令違反事業主に対しては41日から緊急対応期間中は対象となりました。

4.まとめ

今回の緊急対応期間中は助成率が5分の4(中小)、3分の2(大企業)(解雇を行わない場合は10分の9(中小)、4分の3(大企業))になる引き上げ措置や教育訓練の加算額が2400円(中小)、1800円(大企業)に増加する措置も含まれています。上手に活用して雇用の維持に取り組んでいきましょう!!

解雇等には、喪失原因3となる解雇や退職勧奨の他に、自社が受けている派遣社員の契約中途解除も含まれます。また、雇用の維持(1月24日の事業所労働者と比較して5分の4以上の労働者が在籍していること)も必要です。

 

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1.雇用調整助成金の今回の緩和措置の趣旨、目的は?

厚生労働省のホームページ雇用調整助成金は「景気の変動、産業構造の変化その他の経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、一時的な雇用調整(休業、教育訓練または出向)を実施することによって、従業員の雇用を維持した場合に助成されます。」と概要が記載されています。今までは、経済上の理由の判定や従業員の雇用の維持目的を厳格に判断するために、複雑な要件や添付書類が設けられていました。今回の緩和措置はコロナウィルスの蔓延による経済の急な落ち込みに対応するために、様々な要件を取り払ったことが特徴になります。

 

2.4月1日からの緊急対応期間に関する緩和措置

生産指標の要件緩和

今までは、計画届の提出前3か月間の生産性指標(売上や生産高や工事高)が対前年同月比で10%の減少が必要でしたが、計画届の提出前1か月間の生産性指標の対前年同月比5%の減少と短縮、緩和されています。(また、前年と比べて減少していない場合、前々年と比べることが可能です)
この生産性指標の確認は計画届を届出した月の前月で見ます。後述する事後特例期間中であれば、4月1日から休業を開始したとしても、5月に届出をだせば4月、6月に届出をすると5月と比較することになります。

雇用量要件の廃止

今までは雇用量(雇用する人の数が)対前年比で増加している場合(最近3か月の雇用量で判断)が対象外でしたが、廃止されています。

雇用保険適用事業所設置後1年未満の事業所でも対象

この場合の、生産指標の確認は提出があった月の前月と令和元年12月を比べます。(この部分が422日に再改正され、必ずしも12月ではなく計画届提出の前々月から直近1年間の比較月との比較によって減少の判定ができることとなりました)

休業規模の要件緩和(1月24日まで遡及)

休業等の延べ日数が対象労働者に係る所定労働日数の1/20(中小企業)、1/15(大企業)以上となるものであることとしていましたが、これを1/40(中小企業)、1/30(大企業)以上に緩和します。

短時間休業の緩和(1月24日まで遡及)

今まで、短時間休業については雇用保険適用事業所の労働者が一斉に休業する必要がありました。今回の緩和措置で部門、店舗ごとの休業も対象となりました。

残業相殺制度の停止(1月24日まで遡及)

今まで、残業相殺(例えば所定1日8時間労働で、休業対象者が月16時間残業した場合、休業の助成される日数から2日間減らされること)がありましたが、停止され休業日数そのまま払われます。

自宅での教育訓練も可能

今まで自宅での教育訓練は一律不可でしたが、可能とされました。また、マナー、セクハラ、パワハラ、メンタルヘルス研修等も認められます。ただし、厳格な受講確認(自筆での受講レポートの作成等)が求められています。

3.大幅な書類や手続きの簡素化

計画の事後届出が可能

今までは必ず休業の前日までに計画届の提出が必要でした。これが6月30日までであれば、実際に休業を開始した後でも届出が可能になります。よって、下記のように支給申請とまとめての手続きを行うことが出来ます。また、2回目以降の計画届提出が省略できるようになりました。

(タイムスケジュール例)

・4月1日休業開始

・5月中に4月、5月の計画届提出(事後特例)、6月の計画事前申請、4月分の支給申請 

・6月中に5月の支給申請、7月の計画申請

 

休業協定書に添付する委任状の提出が不要に

休業を開始する前に労働者代表との間で休業手当の支給率や対象者を決めた休業協定書を締結する必要があります。(休業協定書の有効期間は1年以内とされています)今までは、個々の労働者が労働者代表に協定書結ぶ権利を委任するための「委任状」も計画届に添付する必要があるとされていました。実際、自宅での勤務や待機、外出自粛要請が出ている中でこの委任状集めが大きな負担になっていました。今回、この委任状の提出が不要とされました。

 

記載事項の大幅削減

各届出書類が見直されて、大幅に簡素化されました。具体的には今まで月ごとのカレンダーに個々の休業対象者の出勤、休業状況の記入が必要とされていましたが、判定基礎期間ごとの各労働者の総日数を記載する方式に変更になりました。

 

休業手当100%支給時の休業手当明記が不要に

今まで、賃金台帳に休業手当額の明記が必要とされていました。今回の簡素化で休業手当が所定給与の100%支給されている場合は、賃金台帳への休業手当の明記が不要となりました。ただし、休業手当率が100%でない場合は明記が必要となります。

(記載例)給与20万円、所定労働日20日、休業日10日の場合

・給与20万円

・休業日分減額 10万円(欠勤控除でも構いません)

・休業日数10日

・休業手当10万円

システムの都合上、休業分の明記が難しい会社もありました。休業手当100%の場合の明記不要措置は助かるのではないでしょうか。

風営法関連業種に関する特例及び労働保険料を納付していない事業主等に関する特例、

する特例が設けられました。

今まで対象にならなかったこれらの事業主においても、風営法関連業種事業主においては228日から、労働保険料を納付していない事業主等に関する特例、労働関係法令違反事業主に対しては41日から緊急対応期間中は対象となりました。

4.まとめ

今回の緊急対応期間中は助成率が5分の4(中小)、3分の2(大企業)(解雇を行わない場合は10分の9(中小)、4分の3(大企業))になる引き上げ措置や教育訓練の加算額が2400円(中小)、1800円(大企業)に増加する措置も含まれています。上手に活用して雇用の維持に取り組んでいきましょう!!

解雇等には、喪失原因3となる解雇や退職勧奨の他に、自社が受けている派遣社員の契約中途解除も含まれます。また、雇用の維持(1月24日の事業所労働者と比較して5分の4以上の労働者が在籍していること)も必要です。

 

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